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塗装工

塗装の仕事とは

工業・製造業の業界における塗装とは、自動車やバイク、その他工場で作られる製品へ塗装を施す仕事です。

今回は求人で多い自動車への塗装についてご説明します。

自動車塗装の仕事内容

自動車への塗装は、主に電着塗装・シーラ―塗布・本塗装・塗装検査の4つの工程に分けられます。それぞれの概要は以下の通りです。

電着塗装

電着塗装はいわば下塗り。電気を流すことで塗料が付く「電着塗料」を使い、車体や部品全体に塗装を施します。

シーラ―塗布

シーラ―塗布は、鉄板の細かいすき間や継ぎ目にシーラ―と呼ばれる樹脂を塗る作業です。水やホコリが入るすき間をふさぎ、錆が発生することを抑える役割があります。

本塗装

本塗装では、いよいよ車体に本格的な塗装を施します。工場によって塗装の方法は異なるものの、一般的には中塗り・ベース塗装・クリア塗装といった順番を経て塗装を行います。段階的に塗装を施して、美しい発色や光沢を表すことができるのです。

塗装検査

最後の工程である塗装検査は、塗装での塗りムラを人の目で検査し、問題があればポリッシャーを使用し見た目が均一になるよう調整します。

塗装工の年収

自動車への塗装を行う板金塗装工の場合、平均年収はおよそ357万円

月給は約30万円で、初任給は約19万円が相場だといわれており、一般的な平均年収と比べると低い傾向にあるようです。

ただし、専門的な資格を取得すれば、給与の高い高度な仕事を任される場合も。これから塗装工を目指すなら、資格の取得をおすすめします。

塗装の仕事で有利になる資格

工業・製造業で活躍する塗装工を目指すため、取得しておきたい資格は「塗装技能士」。塗装に関する資格で、塗装に関する高い知識や技能を持つことを認定します。

塗装技能士の資格試験は種類があり、それぞれ「建築塗装作業」「木工塗装作業」「金属塗装作業」「噴霧塗装作業」「鋼橋塗装作業」の5種類が存在します。工業の現場で働く塗装工を目指すなら、金属塗装作業の試験を受けると良いでしょう。

塗装技能士の等級

特級 管理者・監督者が通常有すべき技能。※塗装業界においてはあまり重視されていない
1級 上級技能者が有すべき技能。国家資格。
2級 中級技能者が有すべき技能。都道府県知事が認定。
3級 初級技能者が有すべき技能。都道府県知事が認定。

塗装技能士の受験資格

資格には等級が存在し、等級ごとに受験資格が設定されています。学校に通わずに上位の等級を取得する場合は3級から、塗装に関係する学校や職業訓練校に通っている場合は2級から取得を目指すと良いでしょう。

受験資格
特級 1級合格後、5年以上実務を経験。
1級 実務経験が7年以上、または2級の取得者。
2級 実務経験2年以上か、職業訓練校や専門高校などを卒業した人。または3級取得者。
3級 実務経験6ヵ月以上か、職業訓練校や専門高校などの在校生。

各等級の実務経験年数は、学歴や職業訓練歴により免除・または短縮されます。

塗装技能士の試験内容

塗装技能士の試験内容
1・2級実技試験 選択科目
・木工塗装作業
・建築塗装作業
・金属塗装作業
・鋼橋塗装作業
・噴霧塗装作業
1・2級学科試験 ・塗装一般
・色彩
・材料
・安全衛生
・関係法規
選択科目
・木工塗装法
・建築塗装法
・金属塗装法
・鋼橋塗装法
・噴霧塗装法
3級実技試験 選択科目
・木工塗装作業
・金属塗装作業
3級学科試験 ・塗装一般
・材料
・安全衛生
選択科目
・木工塗装法
・金属塗装法

塗装技能士の勉強方法

学科試験に関しては、独学での勉強が主となります。過去問題集や試験対策テキストが市販されているので、自分で取り寄せて学習を進めると良いでしょう。

実技試験に関しては、普段から塗装の練習をしておくことが肝心。また、試験に挑む前に、各都道府県の塗装協会が開催している「実技課題説明会」と「実技事前講習会」には必ず参加しておきましょう。

実技課題説明会は、実技試験で出される課題についての説明を受けられます。参考となる資料や塗装方法に関してのコツを教えてもらえるので、非常に有意義な内容といえるでしょう。

実技事前講習会は、実技の課題をクリアするためのコツやポイントを実践しながら教えてもらえます。

実技に関する説明会や講習会は、参加しなければ課題をこなすことが難しいので、資格取得のために参加はほぼ必須といえます。

学科試験に関する事前講習会もあります。学科試験に自信のない人だと参加してもよいでしょうが、こちらは実技に関する講習会ほど重要視されていません。普段の勉強さえこなしていれば、無理に参加する必要はないでしょう。

塗装技能士の資格取得におすすめの人

「高い給料を得られるようになりたい」「手に職をつけたい」「キャリアアップしたい」という人に、資格の取得はおすすめできます。

塗装技能士の資格を取得していれば、工場によっては給与に資格手当が付与される可能性もあります。また、資格は自身の技術や知識を証明するものでもあります。取得によって就職・転職がしやすくなり、独立・開業する際にも役立ちます。

資格取得によって重要な仕事を任せられるようになるので、取得によってキャリアアップも目指せるでしょう。

塗装技能士の資格取得のメリット・デメリット

デメリットは取得に時間と費用が掛かること。受験手数料に加え、講習会や説明会の受講費用、試験勉強に使用するテキスト代、試験に使用する道具の費用など、合計で10万円近く掛かる場合も。

しかし、その分メリットとして、資格が得られれば給料のアップや就職・転職活動で有利になるなど、さまざまな利点を得られます。特に国家資格である1級を取得すれば、塗装業界でも一目置かれる存在に。将来のためできるだけ良い資格を得たいなら、思い切って1級を目指してみても良いでしょう。

その他おすすめできる資格

「有機溶剤作業主任者」と呼ばれる資格も、取得すれば有利となるでしょう。この資格は有機溶剤を使う仕事で、被害を防ぐための指揮や監督、衛生管理を行うための国家資格。塗装ではシンナーを初めとした有機溶剤を使用するので、こういった資格を持つ人は重宝されます。取得すれば管理者としてキャリアアップしやすくなるでしょう。

ほかにも、自動車の車体整備に関わる資格の取得もおすすめです。工場によっては塗装だけでなく、板金や整備に関する業務を担当する場合もあります。「車体整備士」・「2級ガソリン、2級ジーゼル」・「アーク溶接作業者、ガス溶接技能者」といった資格を取得すれば、求人での採用やキャリアアップがしやすくなるでしょう。

整備に関する資格は、工場以外でも自動車整備を行うディーラーの板金塗装部門でも生かせます。塗装に関する資格と一緒に取得すれば、将来的に手に職をつけられるでしょう。

塗装の仕事でつくられるモノとは

自動車

自分の手で自動車がどんどん綺麗に

自動車工場の場合、塗装工の仕事は下塗り・シーラ―塗布・本塗装・塗装検査の流れで作業を行います。

大手企業の工場の場合、ロボットが自動で塗装を行います。その場合はマシンオペレーター業務のほか、シーラ―塗布や塗装検査が主な業務となるでしょう。塗装の大部分をマシンが行うとしても、最終的な仕上げは人の手で行なうため、責任感とやりがいを感じる仕事です。

また、塗装工の仕事は自動車の製造工場以外にも、自動車整備工場でその技術を生かすことができます。

船舶

海水による錆から船を守る

新しく作られる船への塗装のほか、定期検査や補修を行う船への塗装も行います。

船は常に海水に触れているため、塗装は主に錆止めが目的。錆に強い特殊塗料を使用し、下塗り、上塗り塗装を行います。

船舶塗装工は補修を目的とした塗装を行うことが多いため、塗装前に錆を落とすサンダー工と兼任している場合もあります。巨大な船の塗装では高所での作業も多く、体力が必要な仕事です。しかし大型の船の製造・補修に関われるので、大型の乗り物が好きな人にとってはやりがいのある仕事ともいえます。

飛行機

空の旅の安全を裏方から守る

飛行機の塗装も船と同じく、美観ではなく機体を守るために塗装を施します。高レベルの耐候性・耐腐食性はもちろん、大気流に耐える耐摩耗性や耐衝撃性など、塗料にはさまざまな性能が要求されます。

塗装作業においても妥協は許されません。塗装前の処理後はシーリングや表面処理、マスキングを行った後、プライマー塗装・トップコート塗装・マスキング塗装といった塗装をムラなく丁寧に行います。

航空機の場合、製造をする工場だと部品ごとに塗装を行います。ラインに乗ってくる部品に塗装をしていく作業なので、一見単純作業のような印象を受ける人も多いはず。しかし塗装の仕事は奥が深く、長く働き続けるほどに新たな技術や知識を得られる「一生モノの仕事」となるのです。

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