製紙工
紙と一言で言っても薄紙や厚紙、和紙など様々な種類があります。それらの紙を作る製紙製造工場にて製造を担う技術者が製紙工です。近年、機械化が進んでいる業界で、従来の作業の他に機械の操作を行い、紙の品質をチェックする作業なども行うようになりました。ここでは製紙工の仕事内容や年収など詳しく解説するので、チェックしてくださいね。
取材協力:三陽工業株式会社
「ニッポンのものづくりにわたしたちの力を」
- 三陽工業社員インタビュー
日本の工業界を代表する数多の企業に優秀な正社員エンジニアを派遣させている三陽工業株式会社に取材・監修協力を得ました。「ニッポンのものづくりにわたしたちの力を」をスローガンに掲げる同社での、ものづくりの楽しさや喜び、やりがい、誇り…、そして今後の展望を語っていただきました。
製紙工の仕事内容
製紙業界は紙やパルプ全般を取り扱っている業界です。新聞紙やコピー用紙などの紙をイメージするかもしれませんが、段ボールや板紙、パッケージ用の紙、トイレットペーパー、紙おむつなど幅広い種類があります。そのため仕事内容も多岐にわたるでしょう。
基本的に紙の品質をチェックするのが製紙工の仕事になります。近年、機械による製造が進むようになり、その機械の操作なども製紙工が担当するようになってきているようです。さらに業界によっては森林事業や新たな紙の開発、デザインの作成などの仕事内容へと広がっています。とくに大手に勤務することで仕事内容も幅広くなる傾向にあり、地球環境に力を入れている企業であれば環境面への取り組みも仕事の一つと言えます。
また吸収性の物品やトイレットロース包装体など特許技術が申請できるような商品開発の業務展開も行われているようです。弾性フルムをはじめ石炭・バイオマス混焼発電など多岐の分野の仕事を行っています。自社開発を行っている企業も多いですが、企業買収を行っているところも多々あるようです。
つまり製紙工という職業は紙だけを専門に取り扱っているのではなく、生産や開発、営業など様々な業務を担う職業になっています。
勤務体系
勤務地
製紙産業が多い地域は、静岡・愛媛・埼玉の順となっています。これは、東京や大阪といった大都市では、企業の書類や書籍といった紙を使う機会がおおく、印刷業が多いため、その近隣で紙を作る製紙業が栄えているということでしょう。
勤務形態
勤務する工場によって様々ですが、8時から17時までの固定制と、変形労働時間制が多いようです。
工場は基本的に24時間稼働しているため、変形労働時間制の工場では三交替制で夜勤もあるようです。
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年収
製紙工の年収は、男女合わせると456万円程度です。男性だけでは年収はアップし、482万円程度と言われています。大手企業であれば、平均年収が600万円を超えるケースも少なくありません。たとえば大手の王子ホールディングスでは40歳での平均年収が760万円を超えていると言った調査結果もあり、生涯獲得賃金も一般的な生涯賃金よりも高めという報告もなされています。
ただ性別による賃金格差も多い業界のようで、女性だけの平均年収は259万円程度です。製紙工は力仕事が必要になることもあるため、男女で年収が大きく変わってくるのかもしれません。また製紙工に限ったことではありませんが女性は非正規職員のケースも多いため、一概に性別だけで比較することは難しいでしょう。ただ正社員で経験を積むことによって年収が徐々に高まってくることに違いはありません。
製紙業界全体的な待遇は比較的充実しており、売上がトップクラスの大手企業であれば独身寮が完備されている、賃貸手当てがつくなど働き手にとって魅力的なポイントが多くあります。さらに福利厚生代行サービスや保養所などが万全の企業もあるようです。年収や待遇などの面を考慮すると、製紙工は優遇された職業ともいえるでしょう。
将来性
環境などを配慮する観点から、ペーパーからデジタルへと移行している現状があります。もちろん完全デジタル化は未だに難しく、紙の需要自体がゼロになることはないでしょう。しかし紙づくりを行うことによって栄えてきた北海道苫小牧市の場合、紙の生産から撤退する運びになっています。つまり既存の事業だけで、これまで通りの売上をキープし続けることは困難と言える状況です。つまり紙の需要が落ちているのは事実であり、国内の市場だけに目を向けると製紙業界は成長していないとも言えます。
一方、ネットによる通販が盛んになることによって段ボールの需要が向上している一面もあります。このように文書ではなく素材として紙に着目すると、製紙業は根強い需要があるため、製紙工の仕事が将来的になくなるということは考えにくいでしょう。
しかし新たな市場を確保するためには、研究開発や海外事業の進出などを欠かすことができません。そのため将来的には海外事業を行う製紙企業も多くなっているのはないでしょうか。そのため製紙業界全体で、新しい柔軟な発想を持った人材を渇望しているようです。そういった人材を確保できた企業が業績を伸ばし、一方従来のやり方に固執した企業は業績を低下させる可能性があります。そのため企業の考え方など把握し、将来性の高い企業を選別することが大切です。
製紙工になるには
結論から言うと、製紙工になるために特別な資格はありません。ただ製紙業界自体、採用人数が決して多くはないため、希望した企業に就職することは難しいでしょう。たとえば大手製紙メーカーである大王製紙であっても採用人数は数十名程度という狭き門です。さらに製紙業界に属する企業も数百社ない程度なので、就職自体が難しいかもしれません。
少しでも就職を有利に進めるためには、難関大学や有名大学出身であるなど少しでも学歴が高い方が理想的でしょう。製紙業界が海外進出を進めようとしているケースが多いため、外国語が出来れば評価はより高くなると思われます。
また技術職に就きたい場合には、機械系や電気・電子系、生物・生命科学系、化学・物質工学系などの学部出身者が有利でしょう。紙を製造するうえで機械の操作は欠かすことができなくなっているため、機械操作の知識もあれば即戦力となるはずです。
さらに製紙工になるためには紙そのものの知識も必要であり、製紙を行う工程をはじめ、素材・材料の知識、製紙製造で必要な機械の操作など実務の経験を積み、身に付けていくことが大切になってきます。
まとめ
紙は私たちの日常で欠かすことができない存在です。デジタル化によって紙の需要自体は減少傾向にありますが、一方ネットショッピングなどが盛んになることで段ボールの需要が向上しています。ただ国内市場だけで製紙業界の売上を向上させることは難しいため、海外進出や新たな商品開発を行うことが重要でしょう。
そのため製紙工は紙の知識だけでなく、柔軟な発想による開発力が求められています。また製紙製造が機械化されているため、機械操作の技術力も必要になってくるでしょう。
決して求人が多いわけではありませんが、年収や処遇の両面ともに優れた職種なので非常に人気が高くなっています。そのため外国語などの知識を身に付けると有利に就職活動を進めることができるでしょう。
取材協力・監修者:三陽工業株式会社
「人の無限の可能性」を原動力に、日本のものづくりの現場を元気にする
三陽工業株式会社は、1980年・昭和55年に明石市にて設立以来、ニッポンのものづくり産業の中で事業を推進し続け、現在では全国35の拠点をベースに事業を展開している企業です。
「人の無限の可能性」という言葉を胸に、働く社員一人ひとりの中に秘めている可能性を「三陽工業という働き方」で引き出し、日本のものづくりに貢献し続けてきました。頑張る人が報われるという当たり前の状況を作り出すため、さまざまな環境を整備している点が社員からも好評を得ています。
役職・部署を希望してプレゼンを行うことで希望が叶うチャンスを与えられる「立候補制度」や、さまざまな種類の表彰制度など、社員一人ひとりの頑張りが必ず形になる環境の整備に力を入れています。