縫製工
人間の生活に欠かせない三要素と言われる「衣食住」、その一つである「衣」を支えるのが縫製工の仕事です。個人の好みが多様化し、同種・大量生産から多種・少量生産へとトレンドが移り変わろうとしているアパレル業界の中で、安価に大量生産を行える海外工場よりも、細かな要求に応えることができる技術力がある日本国内の縫製工に注目が集まっています。縫製工の仕事内容や年収、その将来性と縫製工になるために必要なことについてまとめました。
取材協力:三陽工業株式会社
引用元:三陽工業株式会社公式HP(http://sanyou-ind.co.jp/)「ニッポンのものづくりにわたしたちの力を」
- 三陽工業社員インタビュー
日本の工業界を代表する数多の企業に優秀な正社員エンジニアを派遣させている三陽工業株式会社に取材・監修協力を得ました。「ニッポンのものづくりにわたしたちの力を」をスローガンに掲げる同社での、ものづくりの楽しさや喜び、やりがい、誇り…、そして今後の展望を語っていただきました。
縫製工の本音・口コミ
縫製工の良い口コミ
自分が塗った作品がパリコレクションなど有名なショーで披露され、新聞やネットなどに掲載されると飛び上がるほど嬉しいですね。それにファッションショーでプロのモデルが、自分が関わった洋服を華麗に着こなしランウェイするのを見るのも本当に幸せを感じます。もっと縫製の技術を学びたいというやる気もアップさせてくれる瞬間でした。また私だけかもしれませんが、納期の期限が迫っている作品を作るときには血が騒いで、無事に納期内に仕上がれば達成感が半端ないです。手ごわい仕事ほど何とかやり遂げたいと燃えてしまいますね。
参照元:進路のミカタ(https://mikata.shingaku.mynavi.jp/article/35862/)縫製工の悪い口コミ
細かな作業などが得意だったので、派遣社員としてしばらくの間勤務した経験があります。まず仕事をしてみてきつかったのは、クラクラしてしまうこと。ずっと手先を使いミシンを見つめているので、神経が過敏になり仕事を終えるとクラクラでした。それに座りっぱなしの作業なので、腰痛にも悩まされました。休憩時間にはストレッチや体操もしていたのですが、一度腰痛が現れるとなかなか解消されません。時々ですが、ふと眠くなるときもあり、間違えてしまうことも。その修正を再度しなければならず、いろいろな点でツラい仕事と思うことがありました。
参照元:工場仕事のきついところを経験者に聞いてきました(http://baitokitsui.com/factory/32.html)年間定着率92%を実現!
三陽工業採用HPで
働き方や仕事内容について詳しく
縫製工の仕事内容
生活の基本・衣食住のうち、「衣」の分野を支える縫製工。アパレル企業から依頼を受け、設計図通りに縫い合わせて衣服を完成させる仕事です。
アパレル企業から注文を受けたら生地が納品され、縫製工場で生地に傷や汚れがないかを調べて折り目を伸ばす「延反」という作業を行います。続いて服の設計図となる型紙を作成し、生地を裁断します。最近では型紙の制作から裁断までCAD・CAMというシステムを使って行うことが主流になっているそうです。
裁断後、縫製工は手順通りにパーツを縫い合わせて服を組み立てていきます。基本的には手縫いではなくミシンが用いられ、部位や布に合わせて特別なミシンを使い分けることもあります。完成したらアパレル企業からの注文通りになっているかを確認し、アイロンをかけて出荷。やがてアパレル企業を通してお客様のもとに届くのです。
ほとんどの場合、すぐに全行程を担当するのではなく、直線的な部分など比較的簡単なところから担当していき、次第にできることを増やしていくスタイルをとっています。全ての工程をマスターするには3~5年ほどかかると言われているそうです。
縫製工場の勤務スケジュール
縫製工場における勤務形態は、他の工場と比較して日勤が多いようです。中には24時間操業する工場もあり夜勤のある工場もあります。また、1日のスケジュールに関しては他の工場と変わりはありません。
1日の流れ
ある縫製工場で働く縫製工2年目の方の、1日の流れをご紹介します。
- 8:15 出勤
- 8:30 縫製作業開始
- 12:10 休憩、昼食
- 13:00 縫製作業再開
- 15:00 小休憩
- 15:10 縫製作業再開
- 17:30 自主練習
- 19:00 帰宅
上記の例のように、納期によって早めに出社したり残業をすることもある工場は多いようです。大きな工場となると24時間体制で稼働する工場もあり、2交代制または3交代制のシフト勤務となるケースもあります。小さな工場では日勤のみの1シフト制とし、納期に間に合わない場合には残業する可能性があります。休日については、週末の2日間が休暇であったり、シフト制で休暇を週に1-2回取れたりするなど会社や工場によります。繁忙期は、残業が増え休暇も減る傾向にあります。
また、サンプル工場の勤務となると年間を通してかなり忙しくなり、仕事が途切れるのは年に2-3週間程度のようです。特に国内外で大きなコレクションが実施される2月から3月、そして国内の展示会の多くなる10月は納期が差し迫った注文が多く入り繁忙期としてピークとなります。逆に、比較的時間ができるのは7月から8月にかけてとなるようです。
アルバイトとしての勤務だと、1日4時間程度からの短時間勤務ができる工場もあります。一般的に、アルバイトでも正社員と同じく8時間作業の現場が多くあります。8時間以下の短い勤務時間の場合は、休憩も短く効率的な収入につながります。
24時間稼働の工場勤務をする場合、2交代制か3交代制でのシフト勤務となります。シフトの決定周期は週ごと・半月ごと・1ヶ月ごとと様々なパターンがあり、工場によって異なります。日勤・夜勤など希望のシフト条件がありましたら、事前に確認して置くと良いでしょう。
年収
縫製工の仕事は機械を使った単純作業から技術が求められる手仕事まで幅広く、年収相場も幅広い業界です。
ミシンを使った縫製など比較的難易度が低い仕事の求人を見ると、月収15~20万円、年収250~300万円前後と少な目です。一方オーダー製品などを手掛けるアパレルメーカーなどは、年収300~500万円と少し相場がアップするようです。
ユニクロ・GUなどを展開する衣料大手のファーストリテイリングでは、経験や技術によって300~1000万円の求人が出ており、キャリアを積み重ねて年収アップも期待できそう。
いずれにしろ年収アップを目指すなら、現場での経験を積み重ねてデザインや打ち合わせ能力を高めていくのが不可欠です。実際の作業から仕事を覚えていき、クライアントとの打ち合わせなど一通りの仕事ができるようになると、出世や収入アップにつながります。技術力やデザイン力、コミュニケーションを磨ける職場を選ぶと、将来的なステップアップを目指しやすいでしょう。
将来性
これまでは大量生産のため、人件費が安い海外の工場に委託されることが多かったアパレル製造。受注が少なくなった国内では後継者不足が課題となり、多くの工場が閉鎖してしまったと言われています。しかし、時代のトレンドは大量生産から多種生産へ。個々の体型に合わせたオーダーメイド製品や古着のリユースなどの新たな服飾需要が生まれており、柔軟に対応できる高い技術力を持った日本の縫製工が注目を浴びています。
人間が生活する限り、衣服の需要がなくなるということはありません。ミシンなどの衣服製造に便利な機械が発達したとしても、それを扱う技術を持った人は必要になりますし、個々の要求に応えられる縫製技術は将来にわたって必要とされるでしょう。
縫製工になるには
縫製工になるために特別必要な資格や条件はありません。服を作る工程に携わる仕事のうちデザイナーや型紙を起こすパタンナーは服飾系の専門学校を卒業している必要がありますが、縫製工に必要なのは服への情熱と手先の器用さ。アパレルに興味があり、服を完成させるまでの工程にかかわりたいという強い思いが最も重要です。
また、縫製工は一つの服を複数の工程に分けて作っていく仕事。一人で黙々と作業するのではなくチームで取り組むので、協調性やコミュニケーション力を養っておくと活かせます。
まとめ
時代は変われど人々の生活に必要とされ続ける「衣」、それを支える縫製工は、個性が大切にされる今注目の職業です。服飾への情熱を持ったチームメンバーと共に一つの服を作る仕事は、生活の土台から社会に関われるやりがいを感じられます。アパレルやファッションに興味がある人にとっては、これ以上ない魅力的な仕事ではないでしょうか。
未経験OK!三陽工業株式会社の縫製工の求人例
2021年7月時点、三陽工業では該当の求人がありませんでした。
取材協力・監修者:三陽工業株式会社
引用元:三陽工業株式会社公式HP(http://sanyou-ind.co.jp/)
※画像をクリックするとHPにリンクします
「人の無限の可能性」を原動力に、日本のものづくりの現場を元気にする
三陽工業株式会社は、1980年・昭和55年に明石市にて設立以来、ニッポンのものづくり産業の中で事業を推進し続け、現在では全国35の拠点をベースに事業を展開している企業です。
「人の無限の可能性」という言葉を胸に、働く社員一人ひとりの中に秘めている可能性を「三陽工業という働き方」で引き出し、日本のものづくりに貢献し続けてきました。頑張る人が報われるという当たり前の状況を作り出すため、さまざまな環境を整備している点が社員からも好評を得ています。
役職・部署を希望してプレゼンを行うことで希望が叶うチャンスを与えられる「立候補制度」や、さまざまな種類の表彰制度など、社員一人ひとりの頑張りが必ず形になる環境の整備に力を入れています。