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静電植毛加工業

紙や樹脂に手触りの良い触感を与える静電植毛の技術者。 具体的にどのような仕事なのか、仕事内容や年収、将来性など気になる情報についてまとめました。

静電植毛とは

高級感のあるアクセサリーの箱などでふわふわした手触りのものを見かけたことはないでしょうか。このふわふわした手触りは静電植毛という技術によって作られています。

静電植毛は長さ1mmにカットしたパイル(繊維)を静電気で飛ばし、接着剤を塗った素材に植え付ける技術です。静電植毛の手触りの良さからくる高級感は好む方も多いため、よく使用されています。

しかし、この静電植毛はそれだけではなくいくつかの実用的なメリットも備えています。 エアコンの内部に使用することで結露を防止したり、コタツのヒーターカバーに付けることで火傷を防いだり、自動車の内装で音を出さないようにするという風に、用途は多岐にわたっています。

そのため、多くの会社が静電植毛加工を手掛けていますが、その工程は単純ではなく、素材や条件によって使い分けが必要となります。

技術自体は以前からある職人的な技術ですが、応用幅が非常に広く、様々な商品に使用されているのが特徴と言えます。

実際に利用されている静電植毛の事例

静電植毛を利用されている事例を探してみました。

断熱、消音用途では、カーテンやスリッパが代表的です。見た目の豪華さもポイントですが、断熱性が高いため、特に冬場などで使用される厚手の生地に加工されることが多いようです。

振動吸収用途では、自動車のアクセサリーや、スピーカーボックス、メガネケースなどが挙げられます。強い衝撃に弱いものの箱をコーティングすることで振動から保護することができます。

傷防止用途として、掃除機に使用されているのは気づく方も多いのではないでしょうか。裏面の接触面に静電植毛を施すことで、床が傷つくことを防いでいます。

結露防止で使用されているのがエアコンの吹き出し口です。温度が急激に変化する吹き出し口は本来結露しやすいポイントですが、静電植毛により、防止されています。

また、カメラをよく使用する方は見るかもしれませんが、カメラレンズのフードコートにも使用されています。光の乱反射を防ぎ、撮影品質の向上にも役立っています。

主な効果は以上ですが、子どもがよく使用するおもちゃなどにも加工を施し、けがをしにくいようにしているケースもあります。 このように技術が使用されている分野に制限がなく、発想一つで思わぬ商品が生まれる可能性があるのもこの技術の長所ということができるでしょう。

静電植毛加工業の仕事内容

静電植毛の仕事はどの用途で使用するかで大きく変わります。シート状のものに吹き付けて大量に生産する場合は設備を使用してオペレートする形になりますが、それ以外の形状に静電植毛をする場合は接着剤の塗布とパイルの吹き付けが手作業になるので、職人仕事となります。

そのため、一口に静電植毛といっても、数を追うオペレーターになるか、特殊な部材に吹き付ける職人になるかは会社によって変わってくるといえるでしょう。

ただし、どちらのケースでも基本的な工程は同じです。

まず、最初に静電植毛を行う素材を選定して用意します。素材によって向き不向きがあり、また、希望通りの効果を出すためにパイルを何mmにするかなど、この時点で幅広い知識が必要になります。

次に、該当箇所に接着剤を塗布します。この接着剤は一度配合したら1日以上持たないので、その都度作成する必要があります。

接着剤を塗布したらいよいよパイルの吹き付けです。大量作成する際は専用設備で行いますが、個別に吹き付ける場合は静電ガンと呼ばれる機械を使用し、エアーで飛ばしたパイルを静電気で接着します。

最後にしっかり乾燥させ、適切な形で梱包・納品したら完了です。工程が不十分だとパイルの抜け落ちなどが発生する可能性があるので、各工程ごとの作業を確実に終わらせる必要があります。

静電植毛の仕事は素材の質も相まって、きれいに仕上がるとある種の感動があります。その分丁寧な仕事が求められますが、高級感のあるものを自分の手で生み出せたという経験はそうそうあるものではないので、やりがいを感じることがあるようです。

また、静電植毛の技術は様々なものに応用可能なことから、自分で作り出すことができるようになったら、その知識をもってお客様に提案を行うことも可能かもしれません。そういった意味ではクリエイティブな側面も持っている仕事と言えるでしょう。

静電植毛加工業の勤務スケジュール

静電植毛加工業は会社の生産方針によって勤務形態が異なるため、決まった傾向はありませんでした。ただ、各社の営業時間から見ると通常の日勤である可能性が高いようです。

年収

合成樹脂材料製造業におけるプラントオペレーターの平均年収は、400~500万円程度だとされています。ただし、企業によっておおきく差が開くので注意が必要です。中小企業であれば350~400万円程度、大手であれば500万円以上が相場だといわれています。 金額自体はとびぬけて高いわけではありませんが、その代わり比較的若いうちの年収の伸びが良いので、20代ぐらいの間は同期に比べて高い年収が手に入る可能性があります。

将来性

静電植毛は専門の会社として見ればそれほど数が多いわけではありません。そのため、過当競争にはなりにくい分野だということができるでしょう。
また、静電植毛自体を商品にすると業界規模は大きくありませんが、静電植毛を用いた製品や技術は服飾から車の内装、電化製品に至るまで幅の広い展開が可能です。

その中でも特徴的な事例として、2019年に心電図の計測用電極を静電植毛で作成し、着ているだけで心電図を計測可能にするという研究開発がおこなわれています。IOTなどによるスマートデバイスの開発は活発ですので、将来性という意味では楽しみな部分があると言えます。

このように、知識や技術を身に付けておくことで他の業界へスライドしていくことや個人販売、起業なども展開としてはあり得るかもしれません。

静電植毛加工業になるには

静電植毛自体が比較的ニッチな市場のため、求人自体は多くありません。その反面、経験者の絶対数が少ないため経験者限定での募集というのはされない可能性が高く、未経験からスタートできる可能性は高いと考えられます。

ただし、素材の使い分けや性質の把握、接着剤の配合など職人としての仕事が求められるので、簡単に習熟できる分野ではありません。

また、商品の性質上丁寧な仕事が求められますので、自分の性格や傾向と照らし合わせておいた方が良いかもしれません。

静電植毛加工業は未経験でも入社できる企業がありますが、事前のリサーチをしっかりと行いましょう。

まとめ

静電植毛加工業は世間の認知度があまり高くないのですが、その割には使用されている製品が非常に多い印象を受けます。

専門としている会社は多くはないですが、就職して静電植毛の技術や知識を身に付ければ様々なジャンルで転用可能な技術ですので、やってみて損のない職業と言えるでしょう。

また、製作したものが店頭などに並ぶ可能性の高い商品でもありますのでやりがいを感じることも多いでしょう。

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