合成樹脂材料製造業
合成樹脂というのは一般的にプラスチックを指すことが多く、その原料は原油から作られるのですが、原油が一気にプラスチックへ変化するわけではありません。原油などからプラスチックなどの合成樹脂の原料を製造する仕事がありますので、その仕事の内容や年収などをご紹介します。
取材協力:三陽工業株式会社
「ニッポンのものづくりにわたしたちの力を」
- 三陽工業社員インタビュー
日本の工業界を代表する数多の企業に優秀な正社員エンジニアを派遣させている三陽工業株式会社に取材・監修協力を得ました。「ニッポンのものづくりにわたしたちの力を」をスローガンに掲げる同社での、ものづくりの楽しさや喜び、やりがい、誇り…、そして今後の展望を語っていただきました。
合成樹脂とは
合成樹脂とは、ゴムなどの天然素材から作成された天然樹脂とは違い、人為的に製造された樹脂を指し、塗料や接着剤、成型品など、広い用途で用いられます。
重量が軽く、電気の絶縁性も高いことから様々なものに使用されますが、その反面耐熱性が悪く、衝撃に弱いという弱点もあります。そのため、その弱点をカバーするために繊維などと組み合わせることで様々な性質をもった合成樹脂が開発されています。
使用用途が多いため全てを紹介はできませんが、用途別に開発されているものの例として、耐熱用、防水用、絶縁用、難燃用などの用途があり、電子部品内や精密機械などにも組み込まれていたりします。
合成樹脂の素材は主に石油から作成されます。石油から精製されたナフサからエチレン、プロピレンが作られ、それらがポリエチレン、ポリプロピレンなどのプラスチック材料となっていきます。
このように石油発祥の素材のため、材料を作成する工場は石油化学プラントとなり、合成樹脂材料製造業の場合は石油化学プラントで働くこととなります。
合成樹脂材料製造業の仕事内容
合成樹脂はプラスチックを指すことが多いですが、一口にプラスチックと言ってもFRP(繊維強化プラスチック)や生分解性プラスチックなど、その種類は多岐にわたります。そのため、それぞれの用途に適した樹脂が様々な会社で研究開発、製造をされており、製品を製造する会社がそれらの原材料から商品に適した素材を選んで購入するというのが業界の基本的な流れになっています。
そして、プラスチックの成型が多くの工場で行われていることに対し、原材料の製造は石油化学分野となり、生産する工場は必然的に石油化学プラントとなります。
その中で原材料を製造する仕事は石油化学プラント内にある生産設備のプラントオペレーターとして設備のコントロール、トラブル対応、点検などが基本業務となります。
実際に製造されたものはあくまで素材なので見た目に馴染みはないですが、その後製品化されたものは日常のどこでも目にするものばかりなので、自分の仕事が生活しているほぼすべての人にとって必要不可欠であることが実感できる仕事です。
製品の製造工程という大きな枠組みで見たときには上流に位置する工程になりますので、万が一プラントが止まってしまえば、供給先であるプラスチック製品の製造工場は一気に打撃を受けることになります。
そのため、プラスチックを使用していない製品を探すのが難しいような現代においては、プラントでの合成樹脂材料製造は、日本経済の柱の一つであると言っても言い過ぎではないぐらい重要な仕事であるということができます。
このことから、後で記載していますがプラントのオペレーターは業務にミスが発生しないように業務自体は無理をしないような仕組みになっています。また、通常時はマニュアル通りの業務を強く求められるため、慣れてしまえば通常時は負担は少なくなると考えられます。
その一方で、プラントにトラブルが発生したときはトラブルの原因調査や対応があるため、緊張感をもって業務に臨むことが求められます。プラントオペレーターをされている方によっては、ここが腕の見せ所と、やりがいを感じている方もいるようです。
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合成樹脂材料製造業の勤務スケジュール
合成樹脂材料製造業における勤務形態ですが、主にプラント内の工場における常時稼働の作業となるため、3交代制を取っているところが多いようです。
1日の流れ
あるプラントオペレーターの1日の流れを下記にご紹介します。
- 8:30 出社、夜勤担当との引継ぎ打合せ
- 9:00 ミーティング後にパトロールを行い、終わり次第計器室で工程管理
- 12:00 昼食休憩
- 13:00 計器室で工程管理
- 16:30 夜勤務の担当に引継ぎを行い、翌日の業務予定を確認して終業、帰宅
上述の例は、プラントオペレーターでほぼ共通している流れのようです。
また、3交代制になっていることから、時間のシフトは以下のような組み方になるようです。
- 8:30~16:00
- 15:50~22:00
- 21:50~8:40
3交代というときついイメージがあるように感じますが、むしろ逆で、業務時間が区切られているため残業が発生しにくいというメリットがあります。また、石油化学分野で扱う材料は扱いに注意が必要なものも多いため、安全管理上の観点から労働時間が適正に守られる傾向にあります。
とはいえ、すべてのケースでそうなるかは断言できませんので、求人に応募する際には確認を必ず取るようにしておいてください。
勤務地
勤務地は勤務する工場が何を作っているのかによって変わります。一般的にペットボトルなどの容器を作る工場は、食品工場が多い北海道・鹿児島・沖縄といった地域がやはり多いようです。
年収
合成樹脂材料製造業におけるプラントオペレーターの平均年収は、企業によっておおきく差が開くので注意が必要です。中小企業・大手での相場の違いを事前に確認しておきましょう。金額自体はとびぬけて高いわけではありませんが、その代わり比較的若いうちの年収の伸びが良いので、20代ぐらいの間は同期に比べて高い年収が手に入る可能性があります。
将来性
石油化学業界はあまり表には出てきませんが、必要不可欠な素材なため、安定的に存続すると見られています。また、分野は石油化学ではありますが、各社ともバイオマス原料などの開発も行っているので、今後は石油の状況にも左右されにくくなると考えられます。
また、プラントオペレーターは仕事の性質上就職時に業務経験が求められるケースも少なくありません。そのため、万一所属している会社がなくなったとしてもプラントオペレーターとしての経験は次の就職に活かされ、無駄になることはないでしょう。
合成樹脂材料製造業になるには
合成樹脂材料製造業におけるプラントオペレーターに就くために必要な資格や技術は、基本的には求められていませんが、実務経験を求めるケースも少なくありません。また、歓迎する要素として危険物取扱者の乙種やフォークリフトの免許が記載されているケースもあります。
一方で、未経験でも入社できる企業が多いのも事実。資格取得のための補助制度を設けている企業もあるので、事前のリサーチをしっかりと行いましょう。
まとめ
合成樹脂材料製造業を含めた石油化学業界は知る人ぞ知るというイメージが未だに強く、積極的にかかわりがないと知らないことの多い業界です。しかし、安全管理や社員の待遇に関してはむしろきちんと管理されており、単純な年収では測れないメリットも多い産業です。
オペレーター業務は重要な業務ではありますが、頑張れば誰でも身に付けるチャンスが与えられる仕事ということもできます。
また、仕事を通して世の中の役に立っているということが実感しやすい業種でもありますのでチャレンジしても損はないと思います。
取材協力・監修者:三陽工業株式会社
「人の無限の可能性」を原動力に、日本のものづくりの現場を元気にする
三陽工業株式会社は、1980年・昭和55年に明石市にて設立以来、ニッポンのものづくり産業の中で事業を推進し続け、現在では全国35の拠点をベースに事業を展開している企業です。
「人の無限の可能性」という言葉を胸に、働く社員一人ひとりの中に秘めている可能性を「三陽工業という働き方」で引き出し、日本のものづくりに貢献し続けてきました。頑張る人が報われるという当たり前の状況を作り出すため、さまざまな環境を整備している点が社員からも好評を得ています。
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